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美保神社氏子に伝わる秘法『となえごと』

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4月7日に斎行された美保関神社の青柴垣神事。穏やかな天候に恵まれ大勢の参拝者でにぎわいました。

青柴垣神事とは、事代主神の天津神への国土奉納を進言した後に海に身を隠し、その後再生した様を儀式化したお祭り。「美保神社の研究(和歌森太郎著)」によると、中世末に京から来た太田政清(おおたまさきよ)という公卿によって、創作演出されたお祭りと説明されています。(中世末以前は別の形態だったのかもしれません)

詳しい神事の様子はこちらをご覧ください→ 青柴垣神事2013レポート

氏子に伝わる秘法『となえごと』の謎

数百年間面々と受け継がれてきた神事は、地元住民で構成される氏子組織と神社によって支えられてきました。全国でも珍しいのは氏子が主体的に神事を執行していること。今でも自ら厳く潔斎し、強い信仰心により神事が執り行われます。

ただ、この神事と氏子制度はたいへん複雑で、わたくしのような素人にはなかなか容易に理解できるものではありません。そのためいつも和歌森先生の「美保神社の研究」を片手に取材をするのですが、実はその中で気になっていた文章があるのです。

頭人(一年神主)は個人そのものにおいて尊厳であるが、そうした尊厳性は、彼が神意を悟り得る人、神と交通できる人であるということに由来している。第一、彼は前の頭人(一年神主)から極秘裏に秘法なるものを伝授され、その在任中のみそれによって神示を窺うことを許される、他人に口外を絶対許されぬ秘法である。頭人(一年神主)を卒えて上官になってしまうと、これを知るものではあるが猥りに寛現をしてはならぬとされ、ただ身の大難に遭うときにのみ三回を限りこれを用いることを許される。
美保神社の研究 (和歌森太郎著)p.105

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・神と交通できる秘法がある。

・頭人(氏子の長)しか使ってはならない。

・頭人卒業後は、身が危ういときに三回だけ使うことができる。

半信半疑なわたしは以前、頭人(氏子の長)だった方へ聞いてみたことがあるのです「秘法って何ですか?」と。すると、口外すると自分に良くないこと(死等)が起こるので絶対に言えないと答えられました。このインターネット拡散時代に、中世末からいまだに秘法が伝授されているとは…、ディ、ディープすぎませんか!?

そこで、つたえ隊は4月11日に頭人の引継ぎがあることを聞き、早速頭人交代の儀式とそこで伝授される秘法「となえごと」の取材に行ってきました。

私が呼ばれたのは新しく頭人になる野村さんをお祝いする会。美保関の集会所には、氏子の方々をはじめ、漁業関係者、友人など大勢が集まっておられました。はじめにこれから頭人を努める野村さんからあいさつがあり、乾杯後、祝宴へと進みます。

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2時間が経とうとする頃、現頭人さんであります川本さんのお宅に、野村さんと世話人さんが集まり、準備をします。

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時間になると神楽参籠という頭人として最後の神事が始まります。3人で昇殿し、頭人の川本さんだけが拝殿に入ります。

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ここで納めの神楽が奏されます。灯籠のほのかな灯に包まれ巫女さんの舞はなんとも幻想的です。

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その後、社務所へ移動し、宮司さんとともにお茶を飲みます。ここで引継ぎのお話をされるとか。

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いよいよ秘法伝授。しかし取材は…

数分後、会所に現れたのは頭人の衣装を纏った野村さん。いよいよ秘法伝授の時間です。頭人宮という小さなお宮に、新旧頭人さん、世話人、審査官が入ります。しかし!ここからは撮影禁止、近くにいてはならないと言われました。

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うーん、いったいどんな秘法なんでしょう。気になります。世話人の小松さんに聞いてみました。

「となえごと」とは、神に対して言う言葉。それを毎日のように唱えていると自然と覚え、言葉が体に染み込んでくる。また小松さん曰く「昔は頭人が終わるまでを千日の行と言い、その間自然と人間が出来上がるようになっていた。昔の人はよく考えていた。

頭人宮でのすべての行事が終わると、会所にて家族を含め全員で芋膳を頂きます。

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その後、野村さんのお宅に戻り、引継ぎが終わります。これから1年間厳しい潔斎の生活が始まります。家族、住民からは頭人さんと呼ばれ、生き神様として崇められる存在となるのです。

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具体的な修行内容

1年間毎日欠かすことなく、子の刻(真夜中)に潮掻(しおかき、海に入って心身を清めること)をして美保神社本社や頭人宮・末社等に参拝します。もし途中に他人と出会えば“穢れた”として再度潮掻からやり直します。これを日参(にっさん)といいます。

このほか、
・泊付きの出張で日参できなかった日は次の日に二度参り
・食事は1人で神棚の下で専用の膳・箸を使い鶏肉・鶏卵を食べない
夫婦別床
仏壇を閉じ、死穢等の一切を避ける
など、この外にも多くのしきたりを守りながら日々精進潔斎し、神事を奉仕するための準備をします。

※役前の6人は日参時に紋付き羽織、下駄を着用して港内を行き来し参拝をしています。カランコロンという下駄の音が聞こえてきた時は、役前に出会わないように注意してください。

美保神社公式ホームページより

最後に1年間の頭人を納められた川本さんに感想をお聞きしました。

みなさんいかがでしたでしょうか。

「となえごと」は、神社の神職さんも知りません。もちろん住民も家族もです。知っているのは、頭人と頭人を卒業した上官(じょうがん)という方々のみです。また伝授の仕方から、おそらく一言一句間違うことなく中世末から正確に口伝されていると推測できます。

内容について、世話人の小松さん、旧頭人の川本さんの言葉から、神と交通する秘法とは決して呪文のような簡単な道具ではなく、本来あるべき人間としての有り様にヒントがあるのではないかと感じました。これ以上はみなさんのご想像にお任せします。

これから1年間頭人を勤める野村さんは神様と交通する、いわゆる生き神様となります。昔から頭人さんを参るとご利益があるという言い伝えがあり、遠くから沢山の方々が頭人さんに会いに来られたそうです。ぜひ美保関へ観光でお越しの際は野村さんにお会いください。その際は「頭人さん」とお声がけください。

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